すし屋で松竹梅とあると竹を選ぶことが多い

すし屋では、握り寿司の盛り合わせに、その内容の序列に従って、松竹梅の名称でランクがつけられていることがあります。この状況で真ん中の竹を選んでしまう人が多いといいます。あるいは、初めて訪れたレストランに3種類のコースがあるとしたら、無難に中間の値段のコースを選んでしまう人が多いといいます。これらはリスクを冒したくないという心理が強く働くことから生じる心理状態です。

値段が一番高いと、高い買い物にならないか、と不安に思います。だからといって安いものを選んでしまうと、期待通りの満足が得られないかもしれない、と不安に思います。
そこで、極端なものはリスクが高いと判断し、それを排除することによって中間にあるものが選ばれるのです。
選択肢が複数ある場合真ん中が選ばれるこの心理を、ゴルディロックス効果といいます。イギリスの童話に出てくる少女ゴルディロックスが、熱すぎず、冷たすぎず、中間の温かさのスープを飲む話から名づけられました。

こうした心理を確かめた実験があります。
アメリカの大学生を対象に次のような実験を行いました。
学生たちにコードレス電話やワイン、日焼け止めなど、さまざまな商品を提示して、それぞれどの商品を購入したいかを選ばせました。その結果60パーセントの学生が機能や価格が中間あたりの商品を選びました。
このように、人はリスクを恐れるあまり、極端なものを避け、なるべく平均的なものを選択することでリスク分散を図るのです。

つまり、人々は本質的な部分を考慮することなく、リスクを避けたいがためだけに、極端な選択肢を排除してしまうのです。
そして、根拠のない安心感から平均的なものを選択するのです。リスクを避けることで安心感が得られるのは確かですが、しかしそれは、本質を見極めた結果によるものではなく、平均的なものを選んでいるに過ぎないのです。
したがって、どんなに慎重に選びたい場合でも、商品の品揃えの段階で判断に制限が加えられているのです。
この本能的な人間の策略は合理的とはとても言いがたいものです。
もしかしたら店が一番売りたいものが真ん中になるように値段設定がされているかもしれないのです。

多くの対象と比較されることで、最も魅力的なものが選ばれるのではなく、最もリスクの少ないものが選ばれるのです。
リスクを避けるあまり、本質を見極めることなく無難なものを選んでしまうのです。